あきれて物も言えない

酒飲んだら車運転するなよ。アホか。

公務員の飲酒運転が問題となる中、地方公務員を中心に組織する「全日本自治団体労働組合」(岡部謙治委員長、101万人)が13日付で、ホームページ(HP)に掲載していた「飲酒運転防止の行きすぎ」と題する記事を「誤解を与えかねない」として、削除したことがわかった。

の元ネタ、現在は404になっています。

Q
市当局は、職員による飲酒運転がいっこうになくならないことに業を煮やして、飲酒運転に対する懲戒処分の程度を厳しくし、さらに懲戒処分をした場合は職員の氏名を公表すると言い出しました。行きすぎのような気がしますが、法律上は問題がないのですか。

A
一、 飲酒運転に対する自治体の対応
 飲酒運転といっても正確には、酒酔い運転と酒気帯び運転とがあります。前者は、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態での運転をいい、後者は、身体に道交法施行令で定める程度(呼気1リットルに0.15㎎)以上にアルコールを保有する状態での運転をいいます。いずれにしても、飲酒運転は許されるものではありません。
 そこで、各自治体で職員による飲酒運転の撲滅を目指して、各種の施策が取られています。問にあるようなものや、職員に「私は飲酒運転はしません」とのステッカーを購入させて車に貼らせようとしたり、運転免許を提示させたりといろいろです。しかし、その施策に行きすぎが散見されます。

二、 懲戒処分の程度
  いくつかの自治体では、酒気帯び運転で検挙されただけで懲戒免職にするとの処分基準が作成され、それにそった処分が行われています。
 ちなみに、人事院の「懲戒処分の指針について」では、酒気帯び運転だけの場合は、停職〜戒告となっています。
 そもそも「処分の選択は当該行為にふさわしいものが定められるべきであって、その選択が恣意にわたることはもとより、当該行為と対比して著るしく均衡を失する等社会通念に照らして合理性を欠くものであってはならない。」(大阪高判昭和49年11月7日判時771号82頁)のですから、事故も起こしていない場合の懲戒免職は行きすぎです。
 これまで全国の人事委員会や公平委員会でも、酒気帯び運転だけで懲戒免職処分を認めたものはないようです。青森県人事委員会は、平成17年3月29日、県職員が懲戒免職処分とされた事案で、(1)飲酒運転で事故を起こしていない、(2)検挙後すぐに上司に報告した、(3)他県の類似の事例と比べ処分が重いなどの事情を考慮し、停職4ヶ月に処分を修正しています(これを受け、青森県は処分基準を改正したようです)。
  したがって、あまりに厳しい処分基準は許されないこととなります。


三、 飲酒運転者の氏名の公表
 飲酒運転で懲戒処分をした場合、職員の氏名を含めて公表するという動きがいくつか見られるようになりました。
 しかし、懲戒処分を受けたのが事実でも、懲戒処分を受けたという事実は、個人のプライバシーのうちでも最も他人に知られたくないものの一つで、プライバシーとして保護されます。「前科及び犯罪経歴は人の名誉、信用に直接にかかわる事項であり、前科等のある者もこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有する。」(最判昭和56年4月14日)とされています。飲酒運転での懲戒処分は酒気帯び運転等の道路交通法違反判決を基になされますから 、懲戒処分の公表は、前科の公表にも通じます。
 各自治体における情報公開条例においても個人情報は非公開とされていますが、「(当該公務員の公務と直接関係のない情報についてはもちろん)、公務員の公務に関連した情報であっても、……当該公務員固有の情報であって、本人としては一般的にこれを他人に知られたくないと望み、そう望むことが正当であると認められるものについては、公務員の個人に関する情報としてみだりに公開されるべきではない……」とされています(東京地判平成10年11月12日)。
  したがって、飲酒運転による懲戒処分歴を公表することは、原則として違法となるでしょう。